「菅直人候補が291票」。午後0時20分、党代表選で勝利をコールされた菅氏は、緊張した表情で立ち上がり四方に頭を下げた。座って周囲の議員と言葉を交わしたとき、ようやく笑顔。壇上で「ノーサイドの宣言をしたい」と語り、戦い終えた樽床伸二衆院環境委員長(50)と握手した。
「脱小沢」を具体的に打ち出した。「政治とカネ」の問題について「クリーンな政治」を掲げ「襟を正さねばならない」。さらに「みんなが(政策形成に)参加できる民主党にする」と、小沢氏主導で廃止された政調(政策調査会)復活を宣言すると、場内からどよめきが起きた。
人事面では、「反小沢」の急先鋒(せんぽう)の2人である仙谷氏を官房長官に内定し、枝野氏を幹事長に起用することを検討。財務相には野田佳彦財務副大臣(53)が昇格するとの見方が強い。加えて“必殺仕分け人”こと蓮舫参院議員(42)も重要ポストに抜てきする案が浮上。荒井聡首相補佐官(64)の入閣も取りざたされる。
日程面でも小沢案を覆した。4日中に終えると見られていた新内閣発足は8日に。党役員人事は両院議員総会を開いて7日に決定。今国会の16日までの会期を2週間程度延長する方向で、参院選は「7月8日公示―25日投開票」が有力だ。
人事について「ノーサイド」で公平にあたる意向を強調した菅氏だが、小沢氏に近い議員らからはけん制する声が上がる。すでに枝野氏の起用には異論が噴出。そもそも菅氏当確の流れを作ったのも「反小沢」の前原誠司国交相(48)、岡田克也外相(56)らが打ち出した「小沢氏の影響力排除」を前提にした菅氏支持だった。
菅氏には、党内最大の小沢グループ(約150人)を冷遇しない方がいい事情もある。任期切れの9月にもう一度代表選があるからだ。別の議員は「ノーサイドなんてあり得ない。無条件で続投の流れは作らせない」と巻き返しの決意を語る。
党本部での会見の冒頭、「まずやらなければならないのは、立場でいえば岡田ジャパン」と謎のメッセージを発した菅氏。日本を背負って立つ、という意味なのか。本気で「小沢斬り」をやるかは、新内閣発表の8日までに明らかになる。
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